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「殻を破る」営業改革 2014.06.09

「殻を破る」営業改革

永井 浩二 (ながい・こうじ)氏

[野村ホールディングスCEO(最高経営責任者)]



 これからの国際的な事業環境を考えると、

 やはり中国は無視できないでしょう。

 本土には拠点を作っておかないと。香港から

 上海へ、中国拠点を移す流れもありますし、

 何といってもオンショアのお金を扱えることは

 大きいですから。


 やっぱり正直言ってリスクはあると思います。

 これまでの急成長のひずみがいろいろな

 ところで出てきています。今後も注視して

 いかなければならないでしょう。


 金融業は、人、モノ。カネなどの経営資源を

 ドカンと投入し、設備を作るといったようなこと

 をする必要がありません。その点では身軽

 なんです。

 状況を見ながら、追加で手を打つこともでき

 ます。


 2050年に世界のGDP(国内総生産)に占める

 アジアの割合が50%超になるというデータが

 あります。間違いなくそうなるでしょう。


 お客さまのニーズがあるビジネス、求められて

 いるサービスありきだと考えています。

 その上で、我々が付加価値を付けられる

 ビジネス、そして競争力のあるビジネスに焦点

 を絞りました。


 私は少なくとも、今後4~5年は良い状況になる

 のではと思っています。足元の株式相場は動き

 のない展開が続いていますが、株価というものは

 いつかは本来の企業価値に収斂していくもの

 です。


 このタイミングを逃せば少子高齢化・人口減の

 時代が本格的に訪れるでしょう。今のような

 時期はもう二度と訪れないかもしれません。

 そういう意味では、ラストチャンスと言ってもいい。


 グローバル事業と同じ、国内もこれからは顧客

 ニーズありきです。お客様の年齢やバックグラ

 ウンドに応じたきめ細やかなサービスを提供して

 いかないと。


 変わらないと飛躍できないと思うのです。国の

 規模自体が縮小していく時に、今までの延長で

 物事を考えていくと、必ずしんどくなってくる。


 今が改革の時。どこかで殻を破らなければ

 いけないのです。
 






(『日経ビジネス』 2014.06.09号 P.074)




金融界はグローバル化が最も進んでいる
ように思われますが、実際には、日本の
金融界はグローバル化から遅れています。


大手金融機関ほどその傾向があります。


証券業界に絞ると、ネット専業証券会社間
の競争は激化しています。


その中で、松井証券は、常日頃から先進的な
手法を採用し、先頭を走っています。


株式売買手数料の劇的な低下をもたらしたのは、
松井証券でした。


証券業界は長らく、株式売買手数料収入を
主な収入源にしてきました。


ところが、松井証券などのようなネット専業証券
会社が、手数料の大幅な値下げを行った結果、
手数料収入では旨味がなくなってきました。


店舗とネットで営業する大手証券会社は、
機動力でネット専業証券会社に劣ります。
その代り、総合力では上ですが、諸々の手数料
は割高です。


では、売買手数料の代わりに何をコア事業にした
のかといえば、顧客一人一人に資産額に応じて、
個別にきめ細やかなサービスを提供するという、
ラップ口座を含むプライベートバンク業務です。


プライベートバンク業務を行うことで、富裕層の
投資家と、一般投資家に二分し、でサービス
の質に差をつけることでした。


残念なことに、日本の証券会社では、富裕層を
満足させるに十分なサービスを提供できて
いません。


外国証券会社と比較すると、大きな差がついて
います。


証券会社に「丸投げ」のラップ口座を例に取り
って説明します。


外国証券会社のファンドマネジャーは、
「プロフェッショナル」です。


従業員の立場ではなく、個人でリスクを負って、
運用します。会社の意向に左右されることが
少ないと言えます。


一方、日本の証券会社のファンドマネージャー
は「アマチュア」です。


従業員の立場なので、会社の意向に従って
投資します。そのため、大きな成果を上げる
ことが難しいと言えます。個人でリスクを負って、
投資していないからです。


グローバルな視点から投資するための情報の
量と質の点で、日本の証券会社は見劣りします。


この辺りの問題を解決することができるかどうか、
野村ホールディングスの真価が問われています。





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