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たとえ赤字でも 撤退はあり得ない  2014.10.27




たとえ赤字でも
撤退はあり得ない


日覺 昭廣(にっかく・あきひろ)氏

[東レ社長]


 我々はあくまで素材メーカーです。

 世の中を変えるのは、革新的な素材しかない

 と信じています。小さくてもキラリと光るものが

 あればいい。成長している分野で求められて

 いるものを生み出し続ける限り、必ず競合他社

 に打ち勝ち、最後まで生き残れます。


 炭素繊維は研究予算だけで1400億円を投入

 しました。確かに我々は相当しつこいかもしれ

 ません(笑)。ただその間、どこにも採用されず、

 赤字を垂れ流していたわけではありませんよ。

 最初はテニスラケットやゴルフシャフト、釣りざお

 などに使われ、そこで生産技術を磨いてきました。


 研究チームの合言葉は「黒い航空機を飛ばそう」

 でした。


 自動車メーカーが炭素繊維を本格採用し、全体の

 供給量が増えることは大歓迎です。結果として、

 競合の参入が増えても、勝ち続ければいいのです

 から。炭素繊維複合材料の加工技術を磨いている

 のは、そのための準備と位置付けています。


 水処理膜の分野では、東レは68年に世界に先駆け

 てRO(逆浸透)膜の開発を始め、80年頃に製品化

 に成功しました。その結果、半導体製造に使う超純

 水用では市場をほぼ独占しました。


 ファーストリとのパートナーシップは10年以上が

 経ち、ますます強固になっています。

 共同開発の製品数が増え、売り上げが伸びて

 いるという直接的な効果だけではありません。

 ユニクロの「ウルトラライトダウン」を手に取って、

 「持ち運べるアウターもいいな」と感じる消費者が

 現れれば、新たな市場を創造できます。

 それは我々だけでなく、繊維業界全体にとっても

 プラスに働くのです。


 東レのコア技術は何かと言えば、合成繊維を作り

 出す高分子化学であり、有機合成化学なのです。

 繊維以外の分野に展開できる応用力もあります。


 東レは個人株主が3割程度を占めますが、長期的

 視点での素材開発に取り組む我々を許容してくれ

 ています。

 米国ではこうはいかないでしょう。

 投資家は財務諸表ばかり見ているため、短期で

 儲かる会社にしか資金が集まらない。

 デュポンだけでなく、ベンチャーですらそのような

 状態なのです。


 東レには、財務諸表だけで事業を切り貼りしたり、

 経営を判断したりする社外取締役は必要あり

 ません。


 現場を理解している経営者がいなかったら、

 東レは繊維をやめていたかもしれない。

 そうなっていたら、今の成長は手に入らなかった。


 市場が存在し続ける限りは、撤退なんてあり

 得ません。

 苦しい時を耐え忍び、20~30年待っていると、

 国内海外を問わず優秀な人材が育ってきます。

 それは何にも代えがたい財産になるからです。


 順調の時ほど非常に怖い。業績が悪ければ、

 何が悪いのか分かるのですぐに手を打てます。

 その意味で私は、東レの全ての事業が弱点だ

 と思っています。

 死角がないどころか、死角だらけだと。

 だから日々、問題を見つける努力が必要に

 なります。


 (問題とは)不十分なコスト管理ですね。

 2016年度までの3年間で、生産設備の

 プロセス革新や材料の切り替えなどを通じて、

 2000億円を削減する計画です。


 



東レ社長 日覺 昭廣氏

東レ社長 日覺 昭廣氏
(『日経ビジネス』 2014.10.27号 P.043)




今回の編集長インタビューは、
特集「東レ 勝つまでやり切る経営」
のPART3として構成されています。


その意味で、通常号のインタビューとは異なります。



東レと言いますと、すぐに思い浮かぶのは、
ユニクロ(ファーストリテイリング)との事業
提携です。


『ヒートテック』は、東レと共同開発した素材で、
革新的です。


少し古い話ですが、ユニクロの柳井正会長兼
社長が、
『柳井正の希望を持とう』(柳井正 朝日新書
2011年6月30日 第1刷)の中で、
『ヒートテック』について書いています。


 2010年のシーズン、ヒートテックは7000万枚
 
 を売りきった。日本の服飾史上、一種類の服

 がこれほどたくさん売れた例はないだろう。

 服のヒット商品と言えばせいぜい数千点、

 多くても数十万だったのが、ヒートテックは

 それを軽々と超えた。世界中に店舗網を張り

 巡らせようとしているのだから、こうした新しい

 商品の開発は欠かせないと思っている。 
 

  (上掲書 PP.26-27)



日覺さんは、東レの裏打ちされた実績を
背景に、強気な発言が多かったですね。


技術力と、その技術を生かす市場を的確に
見据える目が備わっている、ということでしょう。
あるいは技術力によって、新しい市場を作り
出すことができる、と考えているのかもしれま
せん。


また、日覺さんは、
「小さくてもキラリと光るものがあればいい」
とも話しています。


「山椒は小粒でもぴりりと辛い」
ということ言葉に近いでしょうか。


「小さく産んで大きく育てる」
という言葉も産業界ではよく使われます。


ですが、ことは簡単ではありません。
人間でも同じですが、大きく育てる(もちろん、
身体だけを言っているのではありません)
ためには、重要な点があります。


育てる側には、育て抜く強い意思と、根気が
なければなりません。


一方、本人には「ひとかどの人間」になろう
とする向上心・向学心と行動が不可欠です。


育てる側、本人のどちらかが、「もうこれでいい」
と思って気を緩めてしまえば、その瞬間に成長
は止まります。本気度が試されることになります。


「長い目で見る」度量が必要ですが、東レには
ありそうです。人材が人財に育つのを待つ余裕
を感じました。


それにしましても、日覺さんの考え方=現在の
東レの戦略は凄いですね。


「有望だと確信すれば、数十年待つこともいとわ
ない」
というブレない方針は、様子見をし、同じ行動を
とりがちな日本企業にあって、特異な存在だ、
と思いました。


「市場が存在し続ける限りは、撤退なんてあり
得ません」
と言う日覺さんの自信に満ちた言葉に、
東レの先端技術は廃れることはない、
と確信しました。


そして、トップに危機意識があるところに、
重要なポイントがある、と思いました。


「勝って兜の緒を締めよ」
といったところでしょうか。


油断してはいけないこと、「成功の復讐」に遭遇
しないことを常に意識しているからだ、と思います。






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常に負ける恐怖心 神に祈るような気持ち  2014.10.20




常に負ける恐怖心
神に祈るような気持ち


宮永 俊一 (みやなが・しゅんいち)氏

[三菱重工社長]


 今、自分がやっていることは100点満点

 ではないし、そんなにいい点数ではない

 のではないか。常にそう思いながら、経営

 をしている。

 弱気なわけではない。自分よりもすごい

 経営者がいて、負けている、引き離され

 ている、そんな恐怖心がある。

 それを補うために勉強していく。そうすれば

 間違える確率は下がる。


 大きなミスをして、その時に焦るとろくなこと

 はない。自分が間違っているという不安感

 を埋め合わせるために、厳しいことを言って

 くれる人となるべく話すように心がけている。


 従来は組織の縦割りが強く、同じグループ

 なのに社内報さえも各事業所で別々に作っ

 ていた。それをグループで1つの共通の

 社内報に統一して、英語版も出した。


 GEによるアルストム事業買収の流れは、

 我々が火をつけた面も多少あるように思う。

 当社と日立が火力発電事業を統合したこと

 が、GEとアルストムを接近させる一つの

 きっかけになった。


 昔は大きなモノ作りプロジェクトで1回失敗

 しても、時間をかけて克服できた。何か問題

 が起きた場合、それに対応し、反省して次に

 生かすことに専念できた。今はプロジェクトが

 大型化し、複雑化しており、原因究明や対応

 は簡単ではなくなった。


 以前の三菱重工は、主に日本国内や近隣の

 国のお客様に製品を納入してきた。お客様から

 三菱重工というブランドに対する絶対的な信頼

 があった。三菱重工スタンダードが存在していた。


 最近、プラントなどで大きな損失が出ているケース

 のほとんどは、企画やプロジェクトのハンドリング

 に問題があったことが原因だ。三菱重工がこれ

 ぐらいでいいと思っても、海外の相手はそうでは

 なかった。


 国際ルールに合うように、仮説検証の方法、

 より現代的なビジネスの意思決定、および

 戦略策定をしていかなければならない。

 一般解はないのだろう。


 新しい時代のモノ作り力とは何だろうか。

 「スーパータレント」が一つひとつやる時代では

 ない。もちろん匠のような人も大事だが、

 システマチックに誰が担当しても75点から85点

 ぐらい取れる、設計なり製造、調達、SCM(サプ

 ライチェーン・マネジメント)をやる必要がある。


 年500億円とか1000億円といった規模でやって

 いけるビジネスなら、そのまま続ければいい。

 そこに達しないのなら、社外のパートナーと一緒に

 なるという選択肢も考えられる。


 目標はコミット(約束)だから、やり抜いて達成しな

 ければならない。言い訳をしてもしょうがない。


 見かけ上、何とか数字を作るだけじゃなくて、

 より市場や投資家にきちんと説明できるようにする。

 中身をもっとクリアに説明していく。足りなかったら

 次に補う。こうしたことをしつこく繰り返していく。

 やっぱり数字は大事だ。
 




三菱重工社長 宮永 俊一氏

三菱重工社長 宮永 俊一氏
(『日経ビジネス』 2014.10.20号 P.042)




今回の編集長インタビューは、
特集「三菱重工 遅すぎた改革、最後の挑戦」
のPART4として構成されています。


その意味で、通常号のインタビューとは異なります。


さて、今回の編集長インタビューでは、宮永さんの
口からは威勢のよい話は出てきませんでした。
それどころか、何か悲壮感さえ漂わせている、
と感じました。


宮永さんは、非常に危機感を抱いている、
と感じました。


社内外からは、「変革のスピードが早過ぎる」という
批判が飛び出しているようですが、それは危機感の
表れと考えられます。


「以前の三菱重工は、主に日本国内や近隣の

 国のお客様に製品を納入してきた。お客様から

 三菱重工というブランドに対する絶対的な信頼

 があった。三菱重工スタンダードが存在していた」

という言葉からは、長年、お客様から絶対的な信頼を
得てきたという自負と、その自負とは裏腹に、
その地位に安住してきたツケが今になって表面化し、
深刻な事態を招きかねない、という気持ちがにじみ
出ている、と感じました。


「井の中の蛙大海を知らず」や「茹でガエル」という
言葉があります。


長年、大組織の中に浸かっていると、自分あるいは
自分が所属する部署が担当している仕事や事業が、
全社で見ると、どのような位置づけになっているか、
という意識が希薄になってきます。


部分最適を全体最適と混同してしまうのです。


「成功の復讐」もまったく同じです。
時代が変わっているにもかかわらず、過去成功した
やり方を踏襲し、しっぺ返しを喰らうという例は、
枚挙にいとまがありません。


その意味では、「歴史は繰り返す」と言えましょう。


日経ビジネスの特集記事というブログで、
「三菱重工 遅すぎた改革、最後の挑戦」
を取り上げます。そちらもぜひ、ご覧ください。


三菱重工は、決して例外ではない、と気づくはずです。






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「鉄道」から描く第2の創業  2014.10.13





「鉄道」から描く第2の創業


後藤 高志 (ごとう・たかし)氏

[西武ホールディングス社長]


 まず手を打ったのは徹底的な事業の

 売却・閉鎖です。当時、国内外には

 約160の事業所がありましたが、

 (赤字が続いていた地方のプリンス

 ホテルなど)実に4分の1の事業所を

 売却しました。外部に売れないところ

 はやむなく閉鎖しましたよ。


 一方、「集中」という形で残した事業にも

 手を加えました。軽井沢などの主力施設

 で新規投資をスピーディーに行ったわけ

 です。現場と一体になった思い切った

 改革が好循環を生み、収益力は飛躍的

 に高まりました。


 (一連の経営改革では)2008年に新型

 車両の30000系、通称「スマイルトレイン」

 を導入しました。


 これはプロジェクト自体が新生・西武ホール

 ディングスの象徴で、当時男性ばかりだった

 車両の企画・開発に女性の声を反映させた

 ことが大きい。乗客の半分は女性や子供

 ですから・・・。


 私たちは(西武鉄道、東武鉄道、東京急行

 電鉄、東京メトロ、横浜高速鉄道)5社で

 広域交通ネットワークシステムを運営して

 います。これだけ素晴らしい相互乗り入れ

 ができているのだから、この形を(資本まで)

 一歩踏み込んで提携することは現時点では

 必要ないと思っています。むしろ相互乗り

 入れによって各社のコミュニケーションは

 非常に高まりました。


 海外需要を本格的に取り組むには、

 グループ会社間の縦割り組織を打破する

 必要もある。


 私も関西の私鉄は我々より10年、20年先

 を行っていると思っています。それは顧客

 サービスや経営戦略と言った目に見える

 部分だけではありません。関西が首都圏

 に先駆けて、日本の人口減少という根本的

 な課題に取り組んでいるからです。


 一例ですが、今となっては当たり前の自動

 改札機も関西からスタートしています。

 人件費を削減するだけではなく、混雑の

 緩和に役立ちます。


 我々が口を酸っぱくして言っているのは、

 「井の中のゆでガエルになるな」ということ

 です。

 鉄道会社は、ややもすると井の中の蛙に

 なりやすいものです。運賃や定期券の収入

 が日々入ってくるため足元のキャッシュ・

 フローが非常に安定している。そこの安住

 してしまえば長い目で見たリスクをおざなり

 にしがちです。これを放置していたら最初は

 居心地のよかってぬるま湯が徐々に熱湯に

 なって、最後は大やけどですよ。


 (東京・紀尾井町の元赤坂プリンスホテル

 跡地に社運をかけた複合施設の建設は)

 2016年夏に完成予定です。地上180m

 で地上は4階までを商業施設、さらに28

 階まではオフィス、ホテルは30階から36

 階までになっています。隣には居住施設

 も付いています。


 「紀尾井町プロジェクト」で培ったノウハウは、

 今後様々なエリアでも応用できると考えて

 います。


 10月下旬には格式売買の制限条項が

 解けてサーベラスは保有株式の売却が

 できるようになります。彼らが持つ35%

 の株式を埋める株主として法人や機関

 投資家が想定されますが、やはり沿線

 住民など幅広い方々に長期安定株主に

 なっていただきたい。そのためにも配当、

 株主優待、株式の値上がりの3つは重要

 です。


 今までは経営の再生に軸足がありましたが、

 これからは企業価値をシッカリと向上させて

 株主に還元していきますよ。まさに第2の

 創業です。
 




西武ホールディングス社長 後藤 高志氏とスマイルトレイン

西武ホールディングス社長 後藤 高志氏とスマイルトレイン
(『日経ビジネス』 2014.10.13 P.080)




かつて西武王国と言われた西武グループを
創立したのは、衆議院議員、衆議院議長を
歴任した堤 康次郎(つつみ・やすじろう)氏
です。


康次郎氏は、西武グループを2つに分けました。
西武鉄道グループと西武流通グループです。


西武鉄道グループは、西武鉄道とプリンスホテル
などの事業で、主力でした。


西武流通グループは、西武百貨店、パルコ、
池袋サンシャインシティなどの流通業で、
いわば傍流でした。


康次郎氏には、2人の息子がいました。
長男が清二氏で、次男が義明氏でした。


清二氏は本妻の子であり、義明氏は非嫡出子
(民法の改正で相続上の差別はなくなりました)
でした。


本来であれば、長男の清二氏が主力の鉄道
グループを引き継ぎ、次男の義明氏が流通
グループを引き継ぐはずでした。


ところが、康次郎氏は何かと反発する清二氏
よりも、義明氏をかわいがったのです。


そして、康次郎氏は後継者として、義明氏を
指名しました。


義明氏は、康次郎氏の教えを忠実に守り、
後に「怪物」と呼ばれる存在となりました。


しかし、昔読んだ本の中には、法人税を
払わないようにするために、多額の借入を
して赤字にする、ということを常套手段に
していたということが、書かれていました。


これは憶測ではなく、事実でした。
当時は、赤字会社は税金を収めなくても
済んだのです。


そうした「不正」がまかり通っていたのです。
父親が衆議院議長を務め、皇室との関わり
もあったからです。


プリンスホテルという名称は、皇室との関わり
があることの表れで、以前のプリンスホテルの
社章は「菊のご紋章」によく似ていることからも
分かります。


現在、このロゴマークは、使われていません。


プリンスとは皇族のことです。
戦後、GHQによって皇族は莫大な財産税を
課され、手放さざるを得なくなり、康次郎氏が
旧皇族の土地を安く買い叩いて、手に入れた
ということです。


ところで、清二氏はペンネーム辻井喬で作家
にもなり、自伝小説を書いています。
文化・芸術に強い関心があった清二氏は、
パルコ劇場などを建て、文化・情報発信の場
としました。


時が経ち、義明氏の不正会計処理により、
上場を廃止されました。


インタビューの中に出てきた、米投資ファンド、
サーベラス・グループ(ハゲタカファンドと一つ
と言われたことがあります)が筆頭株主となり
ました。


その後、紆余曲折はありましたが、後藤さんが
社長に就任し、徹底した改革を断行し、再上場
することができたのです。


編集長は「傍白」の中で、このように書いています。


 米投資ファンド・サーベラス・グループとの

 経営方針を巡る対立では、後藤社長の

 タフネゴシエーターぶりが際立ちました。

 西武鉄道グループと言えば堤義明氏という

 かつてのイメージも後藤社長がトップに

 就いてからは払拭されたように感じます。
 

  (『日経ビジネス』 2014.10.13 号 P.081)


長々と背景を書いてきましたが、この程度のことを
頭に入れておかないと、インタビューの内容を深く
理解することが難しくなる、と考えているからです。






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「メーカー発想」はもうだめ  2014.10.06





「メーカー発想」はもうだめ


角川 歴彦 (かどかわ・つぐひこ)氏

[KADOKAWA-DWANGO取締役相談役]


 まず、ドワンゴもKADOKAWAもコンテンツに

 根ざした会社である、ということです。


 僕たちは、紙であったり、映画のフィルム

 だったりアナログのコンテンツを作っている

 けれども、ドワンゴも「ボーンデジタル」の

 無形物のコンテンツを作っている。彼らは

 「ニコニコ動画(ニコ動)」で若い人たちと

 オタク的なコミュニティーを作り、4000万人が

 試聴する巨大なメディアになり、そこから

 コンテンツも生まれている。(音声合成ソフト)

 「VOCALOID」の楽曲から、派生するダンスや

 小説までね。


 よく考えてみると、僕たちKADOKAWA側の人間

 はどこまでいっても「メーカー発想」なんです。

 アナログ人間はメーカー発想だと置き換えても

 そんなに間違ってはいない。

 ところが、デジタル人間というのはやっぱり

 「ユーザー発想」なんですよ。

 しかもドワンゴはITの技術集団を社内に

 抱えるプラットフォーマーである。


 川上(量生=のぶお 註:藤巻隆)君と話して

 いると、時々思うんですよ。僕は永遠に勉強

 しなければならないわけです。例えば今、僕

 らは知財本部と一緒に「IP(知的財産)2.0」

 というのを提唱していますが、当たり前に

 現行制度の延長で考えてしまう。でも川上君

 なんかは「M2M(マシン・ツー・マシン)」の時代

 を見据えているんですね。著作物の9割を人間

 ではなくソフトウェアが作り、人間のクリエー

 ションは1割しかなくなるかもしれない。それを

 (人間を対象とした)法律で守るということに、

 どれだけの意味があるのかと言う。そういうこと

 を言われちゃうと困っちゃうよね(笑)。

 幸い、僕のようなアナログ人間が考えて、こう

 なるだろうと思ったことと、川上君がこうですよ

 と言ったことが一致して、共鳴できたんだけれど、

 恐らく普通の人が川上君と一緒にやろうとしたら

 抵抗があると思いますよ。

 ただ、社員だってどんどんデジタル化しています。

 川上君を否定したところで、今度は自分の会社

 の中にある川上君的なものも否定しなければ

 いけなくなる。だから、川上君を受け入れるという

 ことは、KADOKAWAの中の川上君的なものも

 吸収するということになる。これが大事だと思うん

 ですよ。


 川上君と僕は、日本だからこそできるオリジナル

 な組み合わせを考えた。やっぱり日本人はコン

 テンツが好きなんですよ。「初音ミク」とか「パズル

 &ドラゴン」とか「妖怪ウオッチ」とか、想定外の

 コンテンツが生まれる。この日本のパワーは、

 やっぱりすごいです。


 ベンチャー企業と言うには会社の規模が大きい

 かもしれないけれども、ベンチャー精神でやって

 いくんです。


 日本で通用しないものを作ったってアジアに行け

 ませんよ。日本的なものだからこそアジアで通用

 する。

 次にグローバリゼーション。そんなふうに考えて

 もらっていいと思うんですね。


 プラットフォーマーにならなければいけない、

 というのは、別にコンテンツ産業だけじゃなくて、

 実はソニーにもセブン&アイにも、どんな産業界

 にも当てはまることなんですね。


 つまり、どの産業界、企業だってITの技術集団

 を持たなきゃいけない時代なんですよ。


 事業の中に技術集団が必要になってくるんです。

 自分のプラットフォームを磨くためには、社内に

 技術集団を持たないとだめです。
 




KADOKAWA-DWANGO取締役相談役 角川 歴彦氏
KADOKAWA-DWANGO取締役相談役 角川 歴彦氏
(『日経ビジネス』 2014.10.06 P.080)




角川さんは、2つのポイントとなる言葉を
使っています。


1つは、「技術集団」です。
角川さんは、「技術集団」という言葉を繰り返し
使っています。


川上さんが率いてきたドワンゴは、技術集団
だったということを強調しています。


さらに、どの業種、どの企業でも社内に技術
集団を持たなくてはならない、とも語っています。



もう一つは、「メーカー発想」と「ユーザー発想」
です。


これは、提供者と利用者と言い換えてもよい、
と思います。


「メーカー発想=提供者」の論理で、押し付け
られると、「ユーザー発想=利用者」には選択肢
はとても限られたものになります。


インタビューの中で語られているように、「メーカー
発想」というのはアナログ人間のものですから、
テレビや新聞、本、雑誌などが相当します。


テレビはデジタル放送じゃないか、と思われたかも
しれませんが、アナログ放送であれ、デジタル放送
であれ、一方的に流すだけであれば同じです。


視聴者に、情報やコンテンツを選択する余地は
ほとんど残されていませんから。


いや、選択肢がない、と言えます。


ところが、ドワンゴの「ニコ動」などは、「ユーザー
発想」ですから、利用者が自らをその担い手と
なることもできますし、参加することができるの
です。


この「メーカー発想」と「ユーザー発想」の違いは、
とても大きなものだ、と思います。


ところで、角川さんは、『クラウド時代と<クール
革命>』(角川ONEテーマ21 角川グループパブ
リッシング 2010年3月10日 初版発行)の中で、
次のように語っています。


 産業や市場の趨勢を決める主役は、

 情報の消費と発信とを共に担う大衆

 にほかならない。21世紀に入って大衆

 は140字でつぶやくマイクロブログの

 「ツイッター」などを媒介にして無名の

 「個人」からリアルタイムの巨大な

 「メディア」となった。「大衆」の英知に

 誰もがアクセスでき、大衆が「すごい」

 「カッコいい」「クール」と賞賛するモノや

 出来事が社会を変革していく。それが

 「クール革命」だ。

 

  (上掲書 P.13) 


また、このようにも語っています。


 芸術や文化の世界では、日本の独自性は

 高い価値を持っている。島国に住み、日本

 語という独自の言語圏を形成している日本

 人の生活や文化は、世界の趨勢(すうせい)

 から孤立して発展してきた。
 

  (上掲書 P.30)


「ガラパゴス化」と揶揄(やゆ)されてきた日本の
伝統や文化が、逆にそうであるからこそ、存在
し続け、再評価されるようになったのも事実です。


フィギュアやコスプレなどの「オタク」のサブカル
チャーが今や、ポップカルチャーに昇華した、
と言えます。


『日経ビジネス』が取り上げた記事をご参照ください。

日経ビジネスの特集記事(65) コンテンツ強国へ
この“熱狂”を売れ!(1)


日経ビジネスの特集記事(65) コンテンツ強国へ
この“熱狂”を売れ!(2)







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管理人の藤巻隆(ふじまき・たかし)です。

私は、『本当に役に立つビジネス書』というメインサイトのほか、『こんなランキング知りたくないですか?』や『新・大前研一名言集(改)』などのブログを運営しています。

日経ビジネスのインタビュー』という同じタイトルの携帯やスマホのサイトがありますが(PCでも閲覧可能です)、新たにFC2ブログ版を追加しました。

より多くの方にご覧いただきたい、と考えたからです。

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