スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

M&Aはギブ&テーク 2015.05.25






M&Aはギブ&テーク

森 雅彦 (もり・まさひこ) 氏

[DMG森精機社長]


 相手のことをよく知りもしないのに、売上高の3~4倍もの

 金額を支払って買収するなんて、絶対にうまくいくはずが

 ありません。統合プロセスをどう進めていくかについては、

 私と(DMGのCEO=最高経営責任者=を務める)カピッツァ氏

 で決めました。統合というと、とかく資本に目が行きがち

 ですが、極端なことを言えば金を借りさえできればいつでも

 できる。

 それよりむしろ、CRM(顧客情報管理)のシステム統合や

 新製品の共同開発といった実務を先行させた方がいい。

 早期に統合効果を得られるからです。

 我々は現時点ですでに、CRMなど販売面で9割、

 共同開発で8割、人事で7割の統合作業を終えています。

 他の部分でもだいたい5割は終わっていますね。

 2020年までにこれら全ての領域で統合を完了させる計画

 です。


 基本的にはDMGの手法を採用しました。


 DMGのやり方を優先させるのには、いくつかの理由があり

 ます。

 まず、経営者の視点から見れば、手法の違いはそれほど

 重大なことではありません。現場は「違う」と思っているかも

 しれないけれど、経営者目線で見たら95%が「一緒」です。

 図面の表記だってそう。どちらの表記方法を使ったところで、

 工作機械は作れる。だったら、そこで「日本が正しい」と主張

 するのはばかげています。

 単に両者のやり方を比べた時、DMGの方が優れているから

 採用したケースもあります。

 設計者が使用するCAD(コンピューターによる設計)ソフト

 ウエアなんかはそうです。


 世界の顧客が使用しているのは、日本製のCADではなく

 欧州製か米国製です。DMGはそのグローバルスタンダード

 に近かったので、DMGのCADに森精機が合わせることに

 しました。

 こちらがDMGに合わせることで、DMGの社員たちに感謝

 されることも理由の一つ。感謝されれば森精機の社員たちも

 うれしいでしょう。手法を相手に合わせたところで死ぬわけ

 じゃないし、自分たちのプライドをちょっと捨てればいいだけ

 ですから。


 (「今や、世界トップの工作機械メーカーとなりました。

 トップであることの意義はどこにあるのでしょうか」という飯田

 展久編集長の質問に対して)

 3つあります。1つ目は、サステイナブル(持続可能)な会社に

 なるために、規模は必要不可欠であることです。


 持続する会社になるために、なぜ規模が必要かというと、

 経営を任せられる次世代の幹部候補を育てやすいからです。

 より競争の激しい環境の中で社員を育てるには、

 少なくとも1万人くらいの規模は必要です。


 2つ目は、マーケティング。規模のメリットはここでも生きて

 きます。

 DMGと統合した後は売上高が4000億円を超えますから、

 その2%として80億円をマーケティングに使える。

 100億円の会社なら2億円しか使えないところを80億円です

 から、それだけ規模の大きなマーケティング活動を展開できる

 わけです。


 最後は、実はこれが最も重要なんですが、知恵の集積です。

 我々は現在、月に約1000台の機械をお客様に納品して

 います。

 一方、多くの競争相手は50台くらい。我々は、月に1000の

 現場での最新事例を勉強できるのです。


 競争相手の場合、せいぜい日本と中国の事例しか学べない

 でしょう。でも(DMGと統合した)我々の場合、日本や中国は

 もちろん、欧州全域、米国の最新事例までも知ることができ

 ます。この差は大きい。

 ここでいう知恵とは、部品の材料、加工方法、使用している

 工具やソフトだけではありません。世界中に散らばる我々の

 サービス担当者がお客様の元に行くので、工場で働くワーカー

 の質やホストぶり(顧客の迎え入れ方)までも学ぶことができ

 ます。


 今回の件についていえば、もともとDMGの方から声を掛けて

 くれました。私も「交際相手」を探していたところ、向こうの方

 から「一緒になろうよ」と言ってくれたのです。それはいい。

 ぜひ進めようという話になりました。


 殺し合いまではしないのが流儀でもあります。

 ギブ・アンド・テークといいますか。

 その意味でも私は、DMGとの統合で、まずはギブすることを

 心がけてきました。


 謙虚であり続けることも大切です。日本がモノ作り大国である

 のは事実。工作機械の需要も、日本は中国、米国の次に

 大きいですから。

 だからといって「全てにおいて日本が優れている」と思うのは

 間違っています。日本は自動車や光学機器、金型なんかに

 ついてはかなり優れたモノ作り力を持っています。

 でも、航空機やエネルギー、医療の分野では、米国や欧州の

 方が先を行っている。

 だからこそ我々は、世界に工作機械を売って、そこから謙虚に

 学ばないといけないと考えています。

 それが産業全体のためにもなると思うのです。
 

  (PP.068-071)




DMG森精機社長 森 雅彦 氏

DMG森精機社長 森 雅彦 氏
(『日経ビジネス』 2015.05.25 号 P.069)
「日経ビジネスDigital」 2015.05.25








キーセンテンスは、

 謙虚に学ぶ 
です。


森社長は、

 「日本は自動車や光学機器、金型なんかについては

  かなり優れたモノ作り力を持っています。

  でも、航空機やエネルギー、医療の分野では、

  米国や欧州の方が先を行っている。

  だからこそ我々は、世界に工作機械を売って、

  そこから謙虚に学ばないといけないと考えています。

  それが産業全体のためにもなると思うのです」

と語っています。


驕りは身を滅ぼします。



森社長のインタビュー記事の直前で、
「企業研究
 DMG森精機 独企業と“ゆっくり婚”」
という記事が掲載されています。


その中から一部をご紹介しましょう。
森社長のインタビュー内容の補足説明とご理解ください。


ポイント1

あえて「双頭体制」を採用する



 双頭体制とは、トップはもちろん、開発やマーケティング、

 財務などの役員ポストに、双方から人材を出し続けること。


 両者の経営陣が対等の精神でまず信頼関係を深めた上で、

 互いの長所、短所を慎重に見定め、相互補完できる関係の

 構築へと結びつけることだ。


 森精機とDMGは2013年8月、双方から役員を5人ずつ出し、

 共同の経営母体「ジョイントコミッティー」を設けた。

 重要な経営判断は、すべてここでの話し合いで決める。

 コミッティーの会長に、DMGのルーディガー・カピッツァCEO

 (最高経営責任者)、コミッティーのCEOに、森精機の森社長

 が就いた。

 まず取り組んだのが、トップ2人が敵対することなく、

 互いを信頼し合える関係を築くことだ。

 

  (PP.064-065)



ポイント2

金をかけてでも対面交流


 第2のポイントは、社員同士がひざ詰めで互いを理解

 できる機会を金を惜しまずに作ることだ。

 DMG森精機では、同じ事業に携わる社員たちがトコトン

 話し合う「合宿」を定期的に実施している。

 3000万円以上の費用をかけ、日本から約100人の社員

 を送り込んだ。

 その象徴的なイベントが2014年7月に開かれた。

 両社の社員が協力し、1つの会社として進むべき方向を

 決める1泊2日の合宿だ。ホストはドイツのフロンテン工場。

 森精機は工作機械を設計する技術者約100人を送り出した。

 飛行機代だけでも3000万~4000万円とばかにならないが

 「投資額以上の効果があった」(高山専務)。
 

  (P.065)



ポイント3


資本より業務統合を優先する


 第3のポイントは、提携当初からM&Aを前提にしながらも、

 事業の統合を資本関係より優先させたことだ。

 「相手のことをよく知りもしないのに売上高の3~4倍も

 払って買収するなんてうまくいくはずがない」という

 森社長の信念が背景にある。


 効率化だけではない。成長戦略のためにも、

 互いは欠かせないパートナーだ。

 「新しい技術が生み出す市場で主導権を握る」という、

 共通の目的がある。
 

  (P.066)



「盛る」新技術にDMGのノウハウを生かせる<br />・DMG森精機が開発した新型レーザー加工機

「盛る」新技術にDMGのノウハウを生かせる
・DMG森精機が開発した新型レーザー加工機
(『日経ビジネス』 2015.05.25 号 P.067)
「日経ビジネスDigital」 2015.05.25





私見

DMG森精機は、独企業との合併をする際に、
米国流の「スピード優先」を採用しませんでした。


相手のことをよく知らず合併し、合併後、
「こんなはずではなかった」ということが発覚し、
経営統合や合併を解消する、失敗例が多く
あったからです。


やはり「相互信頼関係」と「同じ志」が重要である
ことが分かります。


さらに言えば、日本のモノづくりは確かに優れたもの
ではありますが、どちらかと言えば、より小さなものを
つくる技術に長けていますが、大きなモノをつくる技術
は欧米に一歩譲ります。


新型レーザー加工機の画像を掲載しましたが、
これは3Dプリンター同様に、「盛る」加工機です。
小さな部品に「盛る」ことによって大きな部品に加工
する機械です。「小 → 大」です。


日本は逆です。大きな材料を「削って」加工します。
「大 → 小」です。発想の原点が全く違いますね。


この点だけを考えても、物事の捉え方には複数
あることが理解できます。まして、このケースでは
真逆です。


重要なことは、一方が常に正しいとは言えないこと
です。グローバルスタンダード(世界標準)は、
デファクトスタンダード(事実上の標準)でもあるの
ですから。


ドメスティックスタンダード(国内標準)を海外に
押し付けたら拒絶されます。デファクトスタンダード
でないなら無理です。


ジャパニーズスタンダード(日本標準)を、
グローバルスタンダードにするという発想の転換が
必要な場面に、しばしば直面することになるでしょう。


森社長がDMGが使っていたCADを合併後も採用
し続けるのは、グローバルスタンダードだったから、
と考えれば至極当然のことです。






記事を読んで、面白かったら
ポチッとしてください。




こちらのサイトやブログもご覧ください!

本当に役に立つビジネス書

藤巻隆のアーカイブ


スポンサーサイト

ワンストップの強み生かす  2015.05.18






ワンストップの強み生かす

木本 茂 (きもと・しげる) 氏

[高島屋社長]


 もともと、免税品の売り上げを110億円と見積もって

 いたのですが、ふたを開けてみたら上期44億円、

 下期96億円の計140億円でした。

 今では、中小型店1店舗分に相当する売り上げを

 インバウンドで稼いでいます。

 中でも新宿店と大阪店の割合が高くて、140億円中

 100億円をこの2店舗で占めています。

 だから我々もあらゆる手を打っている。

 例えば訪日外国人がこの2店舗で免税品を買うと、

 空港まで配送しています。

 新宿店は成田か羽田、大阪店は関空という具合

 にね。 これをやっているのはうちだけですよ。


 インバウンド売り上げの7割が中国、香港、台湾の

 お客様によります。


 そこで活用したいのが上海、台湾、シンガポールの

 海外3店舗です。 現地法人を持っているメリットを

 生かして、ウェブサイトに訪日を促す仕掛けを入れ

 ました。

 また、日本の高島屋で使えるクーポン券を現地で

 発行しています。


 東南アジアでもどんどん知名度を高めていきたい

 ところです。出店に際し、大きな強みになっている

 のが「シンガポールに高島屋がある」ということです。


 シンガポールも最初の10年は本当に青息吐息で、

 10億円規模の赤字を出していた時期がありました。


 でも、やっぱり先行投資したことが今、大きなリターン

 となってきている。 2014年度の営業利益は連結

 ベースで320億円、そのうち約60億円をシンガポール

 が稼いでいます。 もう、超優等生ですよ。


 しんどいですね、上海は。シンガポールと違って、

 2014年度は20億円の赤字です。

 円安元高の影響もあり、前期より2億円近く悪化して

 います。


 2017年に、タイ・バンコクに出す新店は売り場面積が

 3万6000平方メートルなのですが、この規模で資本金

 が36億円です。

 さらに合弁でやっているので、我々の出資分は約18億円

 です。18億円で3万6000平方メートルの百貨店ができて

 しまうのです。日本で同じ規模のものを作ろうと思ったら、

 まず桁が違うでしょう。


 2011年、売り場を1.4倍に増床してリニューアルした大阪・

 なんばの高島屋大阪店には400億円近く投資しました。

 
 極端な話、海外ならば10店舗ぐらい出せちゃう規模の

 お金を、国内では1店舗に投じていかなければならない

 のです。


 今年度は成長に向けた投資を国内事業に800億円、

 海外事業に500億円と見積もっています。

 名目の数字だけ見ると国内の方が額は大きいのですが、

 実際はやっぱり海外の方が投資効率が良いうえ、

 利益を生み出していくポテンシャルが高いだけに、

 それなりに配分しています。


 銀座とか札幌とか、観光客がよく来る地区にたくさん

 店舗を持っている企業はうらやましいですね。

 うちも諦めているわけではないし、色々策を打ってますが、

 観光客の動きがそうなっている以上、結果がなかなか

 出せない。

 例えば横浜店。利益ベースで見ると一番稼いでいる店舗

 ですが、インバウンドの売り上げは7億円しかありません。


 人の流れは、すごく重要だと思います。

 そういう観点から見ると、新宿店は追い風ですね。

 旧国鉄の貨物操車場跡地に建てられただけに、

 新宿駅からぽつんと離れている印象がありました。

 ただ、2016年に南口に新しい駅舎が完成すると、

 これまで駅周辺のあちこちに点在していたバスターミナル

 が(新宿店に近い)新南口辺りに集約されます。

 これは大きいですよ。


 一方で、紀伊国屋書店に近い明治通り周辺のエリアでは、

 三菱地所による再開発計画が進んでいます。

 大きなオフィスビルが建つ予定です。今交渉中ですが、

 うまくいけば紀伊国屋の入り口とつながるでしょう。

 もう、プラスの材料しかありませんね。


 新宿エリアは、競合がみんな悲鳴を上げている中で、

 うちだけはプラスの材料ばかりです。

 新宿店はこれから「収穫期」に入ります。


 一時期は阪急阪神百貨店のエイチ・ツー・オー(H2O)

 リテイリングと経営統合する話もありました(2010年に断念)。

 未来永劫、統合は絶対にないということはありませんが、

 今は、業務提携で実利を得た方がいいという結論に落ち

 着いたのです。


 ここ数年、トレンドの変化が大きい婦人雑貨が好調です。

 制約はありますが、その中で弾力的に売り場作りや品ぞろえ

 を変えている効果が出ています。こういう強いところをどんどん

 強くしていくことに、百貨店の活路を見いだすことができる

 でしょう。

 インバウンドで一番恩恵を受けているのは、コンビニでもなく、

 ショッピングモールでもなく、百貨店です。

 その要因は、やはりワンストップで買い物ができる点にあると

 思っています。今、その強みが顕在化している状況です。
 

  (PP.080-083)




高島屋社長  木本 茂 氏

高島屋社長  木本 茂 氏
(『日経ビジネス』 2015.05.18 号 P.081)
「日経ビジネスオンライン」 2015.05.18 号








キーセンテンスは、
 人の流れは、すごく重要 
です。


人の流れを保つことも、変えることも、
企業努力だけでは限界があります。


木本さんのお話のように、外部要因である、
再開発や交通手段の変更などによって大きく変化
します。


今まで多くの顧客が来店していた店が、
近隣に大型店ができ、交通網が整備された途端に、
客足が減少したというケースはよくあります。


また、その逆も当然あります。
今までほとんど来店客がなかった店に、
交通の便が良くなり、来店客が急増したというケース
もよく耳にします。






ポイントは、
 デパートは長期的視野に立っての経営 
 が肝要 
ということです。


木本さんは新宿店やシンガポール店を例に挙げて、
説明しています。


 新宿店の場合 



 「永遠に利益が出ない」と言われてきましたが、

 ようやく、投資が生き金になってきました。

 1996年の開業以降、毎年100億円以上の賃料を

 払ってきて、それがかなりの負担になっていました。

 しかし、不動産の一部を取得し、自社物件化する

 ことで負担はだいぶ減りましたね。
 

  (P.083)


 シンガポール店の場合 



 シンガポールも最初の10年は本当に青息吐息で、

 10億円規模の赤字を出していた時期がありました。
 

  (P.080)





ポイントは、
 国内外で投資効率に大きな差がある 
ということです。


「18億円で3万6000平方メートルの百貨店ができて
しまう」のに対し、「売り場を1.4倍に増床してリニュー
アルした大阪・なんばの高島屋大阪店には400億円
近く投資」が必要だったそうです。


物価や人件費、土地の価格に内外価格差がある
からです。


高島屋は現在、海外に3店舗を持っていて、
今後さらに出店していこうとしています。





インバウンドを当てにしているだけでは大きな成長
は見込めないからです。


リスクを負い、成長著しい新興国に打って出て、
その増益分で国内をカバーするという構図が出来
上がりつつある、と見ています。


私はめったにデパートで買い物はしませんが、
高島屋横浜店は横浜駅に隣接していて、
立地条件に恵まれていますが、
インバウンド客が訪れるかと言われると、
木本さんが指摘されたように少ない、と言わざるを
得ません。


確かに、横浜中華街や横浜スタジアム、山下公園、
ランドマークタワー、横浜アリーナなどの観光地は
あります。


ですが、国内のお客様は増加しても、
海外からお客様を呼び込むことに尽力しているとは、
とても思えないからです。


新宿地区では、伊勢丹との競争が激化することでしょう。
百貨店利用者(私は違います!)にとってはありがたい
ことです。


新宿コマ劇場跡地に、新宿東宝ビルが完成し、
歌舞伎町は浄化されつつあるので、さらに集客力を
高めることでしょう。




歌舞伎町にできた新名所 新宿東宝ビル

歌舞伎町にできた新名所 新宿東宝ビル 
(『日経ビジネス』 2015.05.11 号 PP.050-51)
「日経ビジネスDigital」 2015.05.11







記事を読んで、面白かったら
ポチッとしてください。




バックナンバー



地味でいい、堅実に成長  2015.05.11






地味でいい、堅実に成長

柵山 正樹 (さくやま・まさき) 氏

[三菱電機社長]


 2020年度というのが我々の創立100周年なんですね。

 その節目の年に三菱電機グループをどういう企業体に

 すべきか、ということを考えて、今回の目標を設定して

 います。2020年度までに達成すればいいという意味で、

 2020年度に達成しようと思っているわけではありません。


 2015年度は、その目標に向けて具体的な行動を開始

 する年だと考えていますが、現在の景気が一本調子で

 続けば、ひょっとすると2018年度とか2019年度で達成

 するかもしれません。


 産業メカトロニクス分野が稼ぎ頭なんですが、

 そのうちFA(ファクトリーオートメーション)が、

 中国で非常に成果を上げています。


 最終的な組み立て産業だけではなくて、

 もっと上流側から産業の高度化を図っていく。

 その過程で、付加価値の高いFA設備はさらに必要に

 なるはずです。


 私たちは「8つのドライバー」ということを言っています。

 交通や電力、昇降機、FA、自動車機器、パワー半導体、

 空調、宇宙ですね。これらをしっかり伸ばしていきます。

 中でも、FAや自動車機器、空調というところが非常に

 大きなドライバーになってくる。


 家庭から宇宙までいろいろ幅広い事業をやっていて、

 それはそれで強みの一つになってきていると思います。

 また、安定性という意味では、事業の中核にある社会

 インフラ系事業、交通や電力、昇降機などは比較的

 景気の変動の影響を受けにくい事業です。


 一方で、景気の変動を若干受ける分野もあります。

 産業メカトロニクスとか、電子デバイス、家庭電器です。

 私どもとしては、景気変動の影響を受けにくい事業と、

 受けやすい事業のバランスが重要だと思っています。


 必要なM&Aであれば考える準備はあります。

 我々に欠けている技術領域やマーケットを補完する

 ものです。ただ、何かを買ってきて今ある8つの

 ドライバーを9つに増やそうという考えは全くない。

 あくまでも、既存の8つのドライバーをさらに強くする

 ために必要なM&Aなら検討に値するという意味です。


 空調分野を伸ばしていこうと思うと、ある国や地域の

 市場を強化するには、我々が得意とする製品だけでは

 足りない部分があったりします。一例が米国市場で、

 米国のユーザーの空調は、外部の空気を一緒に混ぜる

 文化がある。日本みたいに、循環して空調をするわけ

 ではなく、米国ならではの要求があり、そういうものに

 対応していく必要がある。


 政府が開発したり、共同開発したり、調達したりする

 戦略の中で、我々の役割を果たしていく。

 もちろん、そこで開発した技術を民生転用していくもの

 は出てくるでしょう。例えば自動車の衝突防止用の

 レーダーなどは、防衛産業向けの技術研究開発で

 蓄積したものを民生転用していて、このようなことは当然、

 今後もあり得ます。


 私たちが強みを持っているのは、デジタル製品ではなく、

 もう少しアナログな社会インフラ系の製品です。

 その領域で10年後、20年後に必要な技術は何か、

 という考え方をしています。

 持続的成長というのを考えると、そのための仕込みが

 必要です。今振り返ってみても、フルSiC(炭素ケイ素)

 のパワー半導体も、20年近く前から開発しているんですね。


 当然今も、その次を仕込まなければなりません。

 別にパワー半導体だけじゃなくて、いろいろな領域で

 10年先、20年先に花開く技術というのは、

 今から仕込んでいかないとモノにならないと思います。


 我々は2000年代の初めから成長戦略を「VI戦略」「AD戦略」

 と言ってきました。VIというのはビクトリーで、「強いものを

 より強くしていく」ということで、これは今まで非常に成功して

 きた。「AD戦略」というのが、その強いものをコアにソリューション

 を作っていこうという戦略で、ずっと10年以上前からその基本

 戦略はあるんですけど、なかなか成果として上がってこなかった。


 今一番やらなければと思っているのが事業間連携です。

 そのためには、評価の仕組みというのが大事です。

 つまり、複数の事業本部が関わった時に、その成果をどう分配

 するのか仕組みとして作り上げねばなりません。

 今後は、この事業間連携の加速策を優先的に考えていきたい。


 私は地味でいいと思っています。それは決して、「成長を急がない」

 という意味でもないですよ。足元はしっかりとやりつつ、

 長く安定成長するために手を打っていく。

 そうしないと持続的な成長は実現できません。

 地味でも、そういうことを着実にやっていく会社でありたいと

 思っています。
 

  (PP.060-063)




三菱電機社長 柵山 正樹 氏

三菱電機社長 柵山 正樹 氏
(『日経ビジネス』 2015.05.11 号 P.061)
「日経ビジネスDigital」 2015.05.11






キーセンテンスは、 強みをさらに強化する です。

三菱電機というと、私たち消費者にはあまり
馴染みがないというのが、実感ではない
でしょうか。


家電ではテレビ関連の製品などがありますが、
今ひとつインパクトが感じられません。


ですが、BtoB(企業間ビジネス)では、
エレベーターの製造やメンテナンス事業や、
タービン発電機などインフラに関連した事業で
欠かせない存在となっています。


三菱電機は、コアビジネス(中核となる事業)を
8つに絞り込んで、強化していく戦略を実行しよう
としています。


社内にある技術を擦り合わせて、世の中にない
ものを製品化していくために、10年先、20年先
という長期的視野に立って、研究開発を行なって
います。


そこで大切なことは、社内での「事業間の連携」
です。これなしには「強みをさらに強化する」こと
は不可能です。


将来の事業につながりそうなシーズ(種)を見つけ、
長い時間をかけて育てていくという戦略で、
芽が出て花が開きそうな製品は、
柵山さんが語っている「フルSiC(炭素ケイ素)の
パワー半導体」です。


最初からニーズ(需要)がある場合は、それに対応
した製品づくりが必要になりますが、マーケットが
小さかったり、競合企業が多数存在する場合
(レッドオーシャン)には、価格競争に陥り、
なかなか利益が出せません。


難しいことですが、競合が少なく、オンリーワンの
技術を有効化できる場合(ブルーオーシャン)には、
その製品を凌駕する製品が世の中に出現するまで、
継続的に稼ぐことができます。


三菱電機は今、業績が好調です。
だからこそ、10年先、20年先を見据えて投資していく
姿勢を強めています。


「編集長インタビュー」の記事の直前に、
「企業研究」シリーズが掲載されています。


今週号は「三菱電機」を取り上げていました。
その中から、少し記事をご紹介します。


もうしばらくお付き合いください!





 朝8時の小田急線代々木上原駅。

 新宿行きの通勤電車がブレーキをかけながら

 駅へ滑り込んでくる。小田急電鉄がリニューアルし、

 この1月から営業運転が始まった「1000形」車両だ。

 新型の鉄道車両用インバーター装置を搭載しており、

 大幅な省エネ化が実現できている。

 その効果は定員乗車時で約20%、満員乗車時には

 最大36%もの消費電力が改善されている(いずれも

 従来車両比)。


 鉄道を駆動させる新型の鉄道車両用インバーターは

 「フルSiC適用VVVFインバーター装置」と呼ばれる製品。

 三菱電機が独自開発し、世界で初めて鉄道車両に搭載

 された。


 足元では堅調に成長を続ける三菱電機。

 2014年度は、売上高が4兆2400億円(前年同期比

 4%増)、営業利益は2900億円(同23%増)となる

 見込みだ。

 
 2020年度までに、売上高5兆円、営業利益率8%以上

 などの経営目標も、現状の成長ペースを続ければ前倒し

 での達成が予想されている。


 フルSiCパワーモジュールの開発と製造を担うデバイス

 部門との連携は、車両システム部門だけでなく、

 昇降機や自動車部品の部門とも進んでいる。


 柵山社長は手綱を緩めない。「鉄道車両向けなどの

 応用事例は、事業間連携の象徴的なもの。

 だが、もっと加速させる。

 我々のいろいろな事業本部が持っている技術、

 製品を組み合わせて、さらに競争力の強い新製品を

 生み出すことが重要」。こう強調する。

 

  (『日経ビジネス』 2015.05.11 号 PP.056-059)





過去最高益を更新見込み
・三菱電機の売上高と営業利益の推移
(『日経ビジネス』 2015.05.11 号 P.057)
「日経ビジネスDigital」 2015.05.11







事業ごとの連携を強化する
・セグメント別売上高構成比(2013年度)
(『日経ビジネス』 2015.05.11 号 P.058)
「日経ビジネスDigital」 2015.05.11






記事を読んで、面白かったら
ポチッとしてください。




バックナンバー



         
検索フォーム

プロフィール

藤巻隆

Author:藤巻隆
こんにちは。

管理人の藤巻隆(ふじまき・たかし)です。

私は、『本当に役に立つビジネス書』というメインサイトのほか、『こんなランキング知りたくないですか?』や『新・大前研一名言集(改)』などのブログを運営しています。

日経ビジネスのインタビュー』という同じタイトルの携帯やスマホのサイトがありますが(PCでも閲覧可能です)、新たにFC2ブログ版を追加しました。

より多くの方にご覧いただきたい、と考えたからです。

当ブログをよろしくお願いします。

カウンター

スポンサード・リンク

女子バナー

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
ビジネス
2871位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
704位
アクセスランキングを見る>>

人気ブログランキング

ランキング

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村

サイト内ランキング



FX

カテゴリ

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

アマゾン・サーチボックス

日経ビジネスのインタビュー(FC2ブログ版)

QR

アクセスアップ

アクセスアップのために、これらを使ってみてください。オートサーフですから手間いらずです。

最新トラックバック

スポンサード・リンク

スポンサード・リンク

だいぽん
抜群の安定性と爆発力を誇るアフィリエイトの 秘訣を徹底解説しています。 だいぽんさんが今も月500万~1000万くらい稼いでいる ノウハウです。 あなたも安定的な収入の柱を作りませんか?

リンク

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

売上ランキング

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。