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日本もアクセルを踏め  2015.04.13


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日本もアクセルを踏め

アンドリュー・リバリス 氏

[米ダウ・ケミカル会長兼CEO]


 8年前と比べると、ダウはもう、別の会社になっています。

 新しい技術を使って原油価格に依存しない製品を生み

 出してきたからです。例えば、液晶テレビや有機ELの

 解像度を高める材料を販売していますが、この材料の

 収益性は原油価格に影響を受けません。この8年の間に、

 原油の価格動向にあまり左右されない製品ポートフォリオ

 に作り替えてきたと言えます。


 10年前のことです。私がダウのCEO(最高経営責任者)に

 就任した頃、米国の天然ガスの価格が(100万BTU=英国

 熱量単位当たり)2ドルから12ドルへと上昇しました。原油

 価格も(1バレル当たり)20ドルから50ドルとなり、原料費が

 年80億ドルから320億ドルへと4倍に膨れ上がりました。

 我々には、ポートフォリオを変えて生き残るしか選択肢が

 ありませんでした。あるいは、死を待つかです。


 重要なのはやはり企業の文化、風土を変えるということ

 ですよ。ダウはかつて汎用品を扱う化学メーカーでしたが、

 今はイノベーションに富んだテクノロジーの会社になりつつ

 あります。


 以前から、我々には規模という強みがありました。巨大企業

 なのでリソースはふんだんにある。でも、図体が大きいがゆえ

 に動きが遅いという弱みも抱えていました。中小企業のように

 素早く動くことができなかった。


 とても単純なルールがあるんですよ。私に会う時に、問題点

 だけを提起して解決策を持ってこない従業員がいたならば、

 その人にはもう、二度と会うことはない。もう一つのルールは

 会議をできる限り、短くすることです。


 CEOは勇敢でなければならないし、レジリアンス(外部からの

 圧力を跳ね返す力、強じん性)も必要です。議論を重ねた後、

 最後に決断を下すのはCEOですし、命をかけて意思決定をする

 必要がある。これは周りに優秀な人材がいるからこそ、できる

 ことです。

 強調しておきたいことがあります。私は長年にわたりCEOを務め

 ていますが、3年前の私とも、5年前や8年前、10年前の自分自身

 とも全く違います。常に自分の姿を作り直していますし、今もその

 最中です。CEOとして、いつも新しいことを学ぼうとしています。
 

 米国で起こっていることが日本や、他の国々にそのまま当てはま

 るかと言うと、必ずしもそうではないと思います。ダウは160カ国で

 事業を展開しているので分かるのですが、社会構造はそれぞれの

 国で違います。ただ、共通して言えるのは、何かの意思決定をする

 時には株主の声にも耳を傾ける必要があるということです。


 ダウも米政府も気が付いたんですけど、米国の製造業は古い技術

 に依存していたがゆえに、死に体になっていたのです。新しい技術

 に基づいた製造業の再構築が必要でした。


 伝統的な自動車や家電から、ロボットやアナリティクス、インフォマ

 ティクスという産業に人材を移していこうとしている。つまり製造技術

 とITを融合させていくことを考えています。米国の様々なコミュニティ

 ーカレッジでは、若い人たちへの研修プログラムが既に始まっています。


 現実には、米国は(製造業の復権に向けた取り組みを)どんどん加速

 しています。でも日本はアクセルを踏んでいるようには見えない。

 なので、日本がイノベーションを生む策を打ち出さなければ、差はどん

 どん開いてしまうでしょう。米国と同様の取り組みは世界各国がして

 いるので、日本が何もしなければ5年後には、中国やドイツ、韓国、

 英国といった国々にも遅れてしまいかねない。それを懸念しています。
 

  (PP.076-079)




米ダウ・ケミカル会長兼CEO アンドリュー・リバリス 氏

米ダウ・ケミカル会長兼CEO アンドリュー・リバリス 氏

(『日経ビジネス』 2015.04.13 号 P.077)
「日経ビジネスDigital」 2015.04.13






キーワードは、企業体質の変革です。


「8年前」というのは、「日経ビジネスは8年前にも
インタビューしています」と、新編集長、飯田展久さん
がインタビューの冒頭で述べたことに呼応しています。


リバリスさんは、日本に、そして日本人に、とても参考
になることを述べています。


例えば、インタビューの最後で、
「日本がイノベーションを生む策を打ち出さなければ、
差はどんどん開いてしまうでしょう。米国と同様の取り
組みは世界各国がしているので、日本が何もしなければ
5年後には、中国やドイツ、韓国、英国といった国々にも
遅れてしまいかねない」
と指摘しています。


日本はとても痛いところを突かれたな、と思いました。


日本企業は、国内に目を向けすぎて、「井の中の蛙」に
なっていたり、あるいは長年、ぬるま湯につかっていた
ために、「ゆでガエル」になってはいないでしょうか?


以前、『日経ビジネス』に、ホンダやソニーという戦後誕生
した日本を代表する企業に、以前のような先進性を持った
製品や、尖った個性的な製品を世に送り出せなくなって
きた、という内容の特集記事が掲載されました。


<参考>

日経ビジネスの特集記事(99)
 こんなホンダは要らない 抜け出せ「ミニトヨタ」(1)


日経ビジネスの特集記事(99)
 こんなホンダは要らない 抜け出せ「ミニトヨタ」(2)


日経ビジネスの特集記事(99)
 こんなホンダは要らない 抜け出せ「ミニトヨタ」(3)



いつの間にかチャレンジ精神が失われ、安定を求める社員
ばかりになってしまったということなのかもしれません。


それだけではなく、企業がそうした安定を求める社員ばかり
を採用してきたからとも言えます。


リバリスさんは、このようにも述べています。
「私に会う時に、問題点だけを提起して解決策を持って
こない従業員がいたならば、その人にはもう、二度と
会うことはない」
と。


問題解決(ソリューション)のために、まず、問題がどこに
あるのか見極めることは重要です。ですが、それだけでは
解決には至りません。解決策を提示できなくてはならない、
と言っているのです。評論家になってはいけない、と言い
換えてもよいでしょう。


前もって正解は用意されていないかもしれません。
むしろそういうケースのほうが多いでしょう。


さらに、正解は一つとは限りません。複数あるかもしれま
せん。試験の答案とは違うのですから。


ですから、あなたは複数の解決策を用意しておく必要が
あります。


あなたの解決策がよいかどうかを判断するのは上司であり、
最終的に意思決定するのは経営トップです。


もちろん、上司が部下の手柄を独り占めしたり、部下に責任
転嫁するような人物ではない、ということが前提になりますが。
そんな上司は何人もいました。


リバリスさんは、
「重要なのはやはり企業の文化、風土を変えるということ
ですよ」
と、企業変革の重要性を述べるだけでなく、自らを変えること
の重要性も指摘し、自ら実践していることを披露しました。


「私は長年にわたりCEOを務めていますが、3年前の私とも、
5年前や8年前、10年前の自分自身とも全く違います。常に
自分の姿を作り直していますし、今もその最中です。
CEOとして、いつも新しいことを学ぼうとしています」


地位に安住することなく、向上心を強く持って、更に上を目指
しているのです。


私は、「過去の自分と現在の自分」、「現在の自分と未来の
自分」を比較し、少しでも向上していることが確認できるように
努めています。


リバリスさんの姿勢は見習うべきですね!






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私は、『本当に役に立つビジネス書』というメインサイトのほか、『こんなランキング知りたくないですか?』や『新・大前研一名言集(改)』などのブログを運営しています。

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